VOICE2024-11-19

LCA専門家集団、LECレック

FiTOでは温室効果ガスの算定においてLCA算定を行っています。 今回は、そのLCAの専門知識と豊富な経験を持つLCA専門家集団「株式会社LCAエキスパートセンター」通称LEC:レック の皆様にお話を聞きました。

株式会社LCAエキスパートセンター

高度なLCA事業の提供と算定ソフトのMiLCAの開発・販売を通じてLCAの社会実装を目指しています。

‟エルシーエー”と聞いて皆さんは何を想像されますか?
‟LCA”とはライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment)のことで、
ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法のことです。
今回は、そのLCAの専門知識と豊富な経験を持つ専門家集団
「株式会社LCAエキスパートセンター(https://www.lca-expert.co.jp/)」通称LEC:レック の
取締役の山岸さん、LCA事業部の須永さん、内藤さんと株式会社メンバーズの松田さんの4名にお話を聞きました。

株式会社LCAエキスパートセンターさんの来歴

2023年の10月に一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO:サンポ)のLCA部門をもとに独立し、株式会社LCAエキスパートセンターとして設立。
2024年の4月から事業開始。
高度なLCA事業の提供と算定ソフトのMiLCAとともにLCAの社会実装を目指しています。

データドリブンが支えるLECのミッション。


FiTOスタッフ>はじめにLECのビジョンなどを教えていただけますか。

須永さん:

LECのビジョンとして、LCAを活用したデータドリブンな製品ライフサイクルの設計及び新たなビジネス創造と、環境対応のビジネス基盤への対応との両面での支援を通じて、サステナブル経営の実現を目指しています。

ミッションとしては、「LCAの社会実装を通じた持続可能な社会への移行」を掲げています。

元々は一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO:サンポ)という組織にLCA部門があり、そのLCA部門が基となり、独立し、LECとして設立されました。

株式会社にした理由としては、「より高度にLCAをやっていこう。また、MiLCAをもっと使いやすくしてLCAの社会実装を広げていきたい」という思いから株式会社として独立しました。

また、SuMPOとLECの役割分担も考えていかなくてはいけない所なのですが、「SuMPOは中立かつ公立、公正な組織」という立場で、どこかに肩入れするわけではなく、様々な方からご相談いただき、中立な立場から支援していく組織です。

また、SuMPOは国内唯一のEPD※(SuMPO環境ラベルプログラム)プログラムホルダーとして20年以上の実績も有しており、第三者認証機関としての役割が中心となっています。

我々LEC(レック)としては、より高度にLCAをやっていこうということで、豊富な経験と専門知識を活かしたLCAコンサルティングサービスを提供するとともに、MiLCAを利活用することでLCAの社会実装を実現して広めていきたいと思っています。

MiLCAは弊社で開発しているLCAの実施を支援するためのソフトウェアです。MiLCAを通じてデータドリブン(データに基づいて意思決定を行うアプローチ)な意思決定を支援したいと考えています。
EPDとは、Environmental Product Declarationの略称。環境製品宣言と呼ばれています。製品・サービスのライフサイクル全体の環境情報を定量的に算出し、第三者検証により透明性と信頼性高く見える化する仕組みの事を指します。
CFPとは、Carbon Footprint of Productの略称。製品・サービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガス排出量をCO₂排出量に換算し、一連の固有の規則や要求事項、数値などを表示する仕組みの事を指します。

FiTOスタッフ:今回、なぜMiLCAのクラウド版をリリースしたのか教えていただけますか?

須永さん:
MiLCAはもともとスタンドアロン型のソフトウェアとして10年以上開発提供してきたのですが、より使いやすく、手に取りやすく、さらにLCAの活用としてデータ連携、データ流通を意識してクラウド化することにしました。

算定した結果を自分たちで把握・分析することも大事なのですが、サプライチェーン全体でデータを共有し、製品のライフサイクルのどこにCO₂の削減ポイントがあるのか、対応すべき点があるのかをより具体化し、アクションにつなげることの重要性が高まっています。クラウド化によりデータ連携と流通を促し、企業のみなさんの意思決定を支援できればと思います。

クラウド化により別のツールともAPI※連携しやすくなるので、既に収集、整理されたデータを活用してデータ入力作業の効率化なども図っていきたいです。

また、MiLCAはSuMPO環境ラベルプログラムのEPD申請にも対応しています。国内でもEPDへの注目は高まっていますが、海外にも様々なEPDがあるため、MiLCAを通じて算定したデータを国内にも海外にも出していけるように海外EPDとの連携も考えていきたいです。

ニーズが高まり算定方法や求められるデータも高度化していくLCAですが、MiLCAを通じて一次データと二次データの連携やデータベースの理解、算定結果を活用したデータドリブンな製品設計などのサポートに取り組んでいきたいです。
APIとは、2つのアプリケーションやソフトウェア同士が情報をやり取りする際に使用されるプログラミング上の窓口

難解だからこそ、社会を変える仕組みとなりえる。


FiTOスタッフ:LCAの活用方法の事例について教えていただけますか?

山岸さん:
弊社ではLCAコンサルティングサービスを提供することで、事業会社のLCA活用をお手伝いしています。
LCA活用に関しては、
「やらないといけないから対応しましょう」というやらされるLCAと、「もっとこういう事を知りたい。こういう事が分かればもっと良い製品やサービスが実現できる。」という前向きなLCA活用の二通りの考えがあると思っています。

前者の場合は
上場企業などは、国際的なサステナビリティ基準への対策、自分の所の環境対策などをサポートしています。そういったサポートがLCA活用事例の大体8割~9割です。

例えばヨーロッパのバッテリー規則があります。EUで自動車用のバッテリーを販売をしたいと考えると、まずはバッテリーを作る所までで、資源の採掘から温室効果ガスをルール通りに算定して、第三者検証を受けるとなると、法律の読み解きなど、こういう解釈でよいのかなど様々な事があります。

一方で前向きにLCAを活用するという方は、弊社のビジョンの前半部分 「LCAを活用したデータドリブンな製品ライフサイクルの設計及び新たなビジネス創造」に対応するのですが、これは正直なところなかなか難しいです。

FiTOスタッフ:そうですね。私たち一般人には何から始めていいのかわからないですもんね。

山岸さん:
はい。例えば開発段階にある最先端の技術を活かしたらどのような環境評価になるのかという事例があります。

セルロースナノファイバーを使用しクルマ作りをおこなった事例があるのですが、
セルロースファイバー(例えば木材パルプなど)をナノレベルにすると、金属に負けないレベルの軽くて強靭な素材になり、これをクルマのボンネットに使用することで軽くて低燃費な車体作りに活かせるのではないかというものです。

しかし、セルロースナノファイバーを作る段階で化学処理等のそれなりの環境負荷もあるので、そこを含めてトータルで見た時に環境負荷軽減につなげたい狙いがあり、ここにLCAを活用します。

これは未来の車なのですぐに社会に実用化されるわけではないですが、素材のポテンシャルを理解していると、その素材に対するアプローチによって、将来のサステナブルなもの作りに活きてくるのではないかと思っています。

FiTOスタッフ:とっても前向きな事例ですね。

山岸さん:
はい。もっと前向きなビジネスが普及していって欲しいと思っています。

工程の見える化をして、それをコストに反映させてゆくというデータドリブンのもの作りの考え方に加えて、製品設計を見直しながら新しい環境価値を事業会社の方と共に共創していくことが私どもの考えです。

そういう取り組みを進める事が、サステナブルな社会の中での楽しさや豊かさを生みだしていくのではないかなと考えています。

例えば、繊維、アパレル分野では世界の環境汚染をしている分野で2位と言われていますし、携わる人達は悶々としているわけですよね。このままでいいのだろうかと。

繊維、アパレル分野ではコストが重要な要件であるため、コストを下げようと大量生産をするというのがオーソドックスな流れであり、その結果環境汚染を助長してしまいます。

そうではなく、データドリブンなもの作りを進めることによって、サステナブルな方向性を見出し、共感を得ていく事ができたらいいなと思っています。実際にそれを社会実装することをお手伝いしたいと考えています。

 LCAが浸透した先にある社会に新たな芽吹きがある。


FiTOスタッフ:御社の活動が社会に対してどう寄与しているのか、また課題について教えていただけますか?

須永さん:
LCAにより定量的な排出量の算定ができることで、データドリブンな考え方やモノづくりが企業の中でも広がり始めているように思います。

この流れを広げ、どうやってLCAの実施を定着させていくかが課題です。
我々はこれを社会実装と呼んでいます。

LCAの社会実装実現に向けたアプローチの一つの方法が、今回のクラウド版MiLCAのリリースです。

クラウド化によりソフトウェアとしてのMiLCAへのアクセス性も向上しました。先ずは、LCAという考え方を世の中に浸透させ、LCAが世の中に定着し、サステナブルな世の中を作る助けになっていけたらいいと考えています。

そして、LCAが定着した上で新しいミッションが芽吹くのではないかと思っています。


FiTOスタッフ:最後に、御社めざす世界はどんな世界観でしょうか。

松田さん:
MiLCAのユーザーには若い人たちが増えているので、LCAを知って仕組みを知って深く理解をしてくれることを期待しています。

LCAの考え方が製品設計に入った実際の商品を手に取ることや、MiLCA自体の使う楽しみも見出していき、それこそがウェルビーイングなんじゃないかと考えています。

MiLCAを社会実装をしてLCAが浸透していくと、きっと良い社会になるはずです。

山岸さん:

「LCAが企業の当たり前になった世界ってどうゆうものなのだろう」っていつも考えています。

その世界を実現するためにLCAの認知や仕組み、有用性や必要性を知ってもらいLCA支援ソフトのMiLCAでお役に立てるように社会に広げていきます。

そのことで今日よりも良い明日を迎えて、今ある素晴らしい地球を次の世代につなげていけるように日々前に進んでいます。

お忙しい中、インタビューにご協力くださりありがとうございました。

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